農業再生のカギ

TPPに反対する農協中央会などのロビー活動が活発だ。農水省も日本がTPPに加盟すると他国からの安い農産物が大量に輸入され、日本の農業が壊滅的被害を受けるとともに食糧自給率も現在の40%から14%にまで下がると予想している。しかし本当にそうなるかどうかは、TPP自体の問題というより日本の外交力のなさの問題であるように思える。加えて日本の農業の置かれている状況はTPPに不参加なら明るい展望が開けているという訳でもない。
先日、神戸大学名誉教授の保田 茂先生から神戸で開催される地域農政フォーラムのご案内をいただいたが、そのメールで先生は「日本の農業を衰退させている最大の原因は、日本の農業に市場競争力がなかったからではなく、日本の食文化の柱であるご飯を食べなくなってきた日本人の食生活のあり方にある」と指摘をされている。食生活の変化が影響している事は指摘の通りだが、美味しいコシヒカリの栽培はアメリカや中国でも可能であろうから、ご飯食の地位が復活したとしても農村の衰退を止めうるとは言い切れない。少子高齢化も農業の後継者不足の一因である。
私が思うに、日本人の多くが農業問題に関心を示していない事が農業再生を阻害している最大の原因であろう。国民一人一人が農業問題に目をむけ多面的な議論を重ねていかねば、農業再生のカギを見つけることは難しい。その意味で、保田先生の地道な活動は意義深いものであると言えよう。神戸まで出向けないのが残念である。
今日の一句「野遊びは、田畑の畦で 草を摘む」