無形文化遺産としての和食

先日の新聞に「和食」を無形文化遺産に登録すべく提案書をユネスコに提出する準備をしているとの報道があった。海外の知人から長寿の日本人は一体どんな食事をしているのか、しばしば質問をうける事がある。日本人の日常食を日本食というならば、貪欲に海外からの様々な食文化を取り入れている国民性に裏打ちされた食事と言えようか。街中を歩けば洋の東西を問わず様々な料理店が共存し、自宅で料理されるメニューも多彩である。洋食であれ、中華であれ、和食であれ、何を食べるかに拘りはない。この多様さが日本食の特徴であり、長寿の源のようにも思う。
しかし、今回話題になっている「和食」は、日常の日本食とは少しニュアンスが異なり、日本独特の料理法によるものに限定している。「日本人の伝統的な食文化」に裏付けられたお料理と表現されているが、果たしてどんなお料理を思い浮かべればよいのであろうか。
古来、多くの食材やら調理法が近隣諸国からもたらされ、日本人の嗜好や風土により変化して日本社会に同化してきた。誰もが和食に分類するお料理であっても、海外に起源を持つ物も多い。
日本の文化というと能楽や歌舞伎、雅楽を指すことから、ここでいう和食も本膳料理など、食べ方の作法が細かく規定されたものを想定しているのであろうか。遺産とは前代の人が遺したものであるから、あまり一般庶民には縁のない料理という事になる。
今日の一句「萌えいずる 野の食材に 春淡く」