覚悟を

一昨日の朝日新聞京都大学原子炉実験所の今中哲二先生が「汚染の中で生きる覚悟を」とショッキングな見出しで寄稿して居られた。素人が憶測で物を言うのではなく、専門の方がそれぞれの立場から忌憚のない意見をぶつけ合うことは大変有意義である。しかし、ショッキングな見出しがどんな根拠に基づく事なのかが気になった。
「がんになるリスクを判断する基準値には科学的根拠が不確かであり、許容できるか否かは個人が判断すべき事だ」と述べておられる。発症するまでかなりの歳月を要し、臨床データの蓄積も十分でない訳だからもっともな意見である。
しかし、「危険か否かを判断する基準値は科学的根拠に基づいて導かれたものではない」としながら、「東京もそれなりに汚染されている」、「放射能汚染の中で生きていかねばならない」と不安をあおるのはいただけない。「外出を控えた方が良い」レベルとはどのようなレベルを言うのだろうか。評価基準値に「科学的根拠」がないとした事と矛盾を感じるのだが、今中先生は我々に「覚悟」を求めている。
今中先生のような専門家が発言すれば、それ自体が素人には判断の根拠となり不安を増幅させる事になるであろう。
今日の一句「遠雷が 汚染の不安 搔き立てる」