討論型世論調査

6月5日の朝日新聞の「ザ・コラム」に編集委員の根本清樹氏が「民主主義を深める新しい道」と題して、慶応大学で開催された討論型世論調査を紹介されていた。要は皆でしっかり意見交換すれば、理にかなった答えが出てくるということである。世論調査という観点からすれば新しい手法なのかもしれないが、議論を尽くす事は別に民主主義の新たな手法という訳ではない。この会を主催した曽根泰教教授も、「討論型世論調査に世代間に関わる課題を取り上げた事が新しい」といっている。国会や政党政治の不具合は、本来なされるべき幅広い議論がなされていない事が問題なのである。民主主義を深めるも何も、民主主義の根幹は自由闊達な意見の交換にある。管降ろしの嵐は吹き荒れているが、管首相の何が良くないのかが議論されていない。管首相を擁護する気はないが、「辞めなさい。辞める事が今の難局の解決策だ」と言うだけの野党党首の発言は、議論ではなく誹謗中傷のレベルである。曽根教授には討論型国会を議員に伝授してもらいたいものである。
同じ日の声欄に「菅首相は速やかに辞任せよ」との投書があったが、この難局をなんとか解決していこうとする喧々諤々の議論が国会でなされない限り、誰が首相であってもおなじことであろう。「菅首相には為政者の力がない」という投書者の意見は、カリスマ的権力者への期待である。遠回りでも「熟議」の場を国会に求めたい。ついでながら、わが世の春を謳歌する橋下大阪府知事にも、聴く耳を持ってもらいたいものでる。
奇しくも、同じ日の新聞にあった「朝日ニュースター」の広告に「議論は時代の幹になる」との言葉が出ていた。ケーブルテレビを契約していないので、この番組は見られないのが残念である。
今日の一句「青嵐は 喧々諤々 吹きあれよ」