生命をはかる

和田昭允先生が主催される「生命をはかる」研究会の公開講演会を聴講した。
開会の挨拶で「2+3=5であるが5=2+3とは必ずしも言えない」ことを例に暗黙知から形式知への知の発展の大切さを述べられた。和田先生は数年前に鶴見に開校した横浜サイエンスフロンティア高校の常任スーパーアドバイザーに就任されているが、高校生との話し合いの場「和田サロン」でこんなことを話題にされているそうで、科学者の卵にとって理想的な教育環境が提供されているようだ。
講演会では、会場を提供した日立ハイテクの卓上顕微鏡(x15~x30,000)の紹介に引続き、OCTによる血管断層画像の測定、ガス分子による生体制御機構の探索と医学への応用、そして血液検査の最前線についての講演であった。門外漢にはとてもその内容を理解できたとは言い難いが、日頃、身近に接することのない最新の分析技術、生体解析技術の一端を垣間見せてもらった。
他方、十分な研究資金を確保できるかどうかが研究業績を左右することになり、一昔前のように手作りの工夫と知恵を傾ければ研究業績を上げられる時代ではないと改めて感じさせられた。即ち、生体を測定できるさまざまな装置が開発され実用化されているが、いずれもかなり高価であり、十分な研究費が無ければ買えない。しかし優れた研究業績を上げなければ多額の研究助成を得ることは難しい。素晴らしい研究成果を前にトランプゲームの「大富豪・大貧民」を思い出した。