食糧問題と遺伝子組み換え技術

中国がトウモロコシの輸出国から輸入国になったと新聞が報じている。食肉の消費量が増えトウモロコシが飼料として消費されれば当然の成り行きである。しかし中国でのトウモロコシ事情は、単なる中国におけるローカルな問題ではなく人類の生存に絡む食糧問題の一端を示すものと理解すべきであろう。
時々思い出したように日本の食糧自給率が議論されるが、これも単に国内の農業問題としてではなく広く全世界の食糧問題としてその解決策を考える必要がある。昔「貧乏人は麦を食え」と言ったと報道されたのは池田 勇人であったか。皮肉なことに今年はロシアや東欧の小麦生産国での不作や輸出制限が話題になっている。他方、日本のみならず韓国や台湾でも食卓のコメ離れはますます進んでいる。コメの減反政策から、学校給食や米を使ったパンなど、更には主食以外への用途拡大も話題にはなっているが決め手となる妙案はない。地球規模で考えると開墾できる農地も限られ、品種改良による増産も難しいとならば、今後は遺伝子組み換え技術に期待することになろう。観念的・感情的な不安心議論で遺伝子組み換えに関する研究自体が抑制されているが、自らの首を絞めているともいえる。