コブシの花

昨日の雨の後、急に気温が上昇したせいか、今朝は霧が立ち込めていた。昼間は毛糸なしでも過ごせる暖かさである。桜吹雪とまではいかないが、庭の梅もひらひらと花弁を散らし始めた。
今月の俳句会の兼題は「コブシ」だそうだ。そう言われてみれば、近所の庭のコブシの花が満開である。
俳句歳時記では、山木蘭(ヤマモクレン)なる別名も記されていた。山野に生えるのが「コブシ」で、人里に植えられているのが「モクレン」ということか。蛇足ながらモクレンの花は、ランよりもハスに似ているとして木蓮とも記されている。
「もくれん」と「こぶし」は、いずれも同じモクレン科に属しており、イメージが似ているので、先人の句を見てみると似たような扱いをされているようだ。
「コブシ」を漢字で書くと辛夷だと知った。「しんい」で広辞苑を引くと、「コブシ」の蕾を乾燥させた生薬とあり、味は辛くやや苦いとあった。「辛夷」では漢方薬である。だとしたら、春の季語として「辛夷」なる漢字での表現は、いささか違和感がある。また「コブシ」という名前の由来は、果実の形が拳に似ていることから名付けられたそうだが、「コブシ」と聞いて拳骨を思うのは何とも無粋である。
名前の由来を詮索するのは止めて、ここは素直に大木に白い大きな花を咲き誇らせる「コブシ」のイメージを尊重したい。
今日の一句「青空に 白く映えるは コブシかな」