表現の自由

シャルリー・エブドの風刺画問題について、宮崎駿氏は「異質の文明に対して、崇拝しているものを風刺するのは間違いだ」と述べていたが、欧米先進国が相手を見下すように異質文明の風習や宗教を取り上げてきたのは今に始まったことではない。「表現の自由」が声高に叫ばれているが、社会的弱者へのバッシングのようでもある。加えて風刺される側からの反論が、対等に保障されているわけではないから「表現の自由」は、一方の側だけに有利に作用している点も考慮する必要があろう。
六辻彰二氏が指摘するように、欧州における現在の反ムスリムと移民排斥のうねりが、ナチス台頭前のユダヤ人排斥の風潮と重なっているようにも思えてくる。
あいまいで反論しがたい「表現の自由」と言った言葉が、問題の本質を見えにくくしていると言えよう。
今日の一句「寒空に ひそかに耐える 萌芽かな」