「麦熟るる日に」

やっと暖かさが戻ってきたようだが、まだ通りの積み上げた雪は頑なに融けずに頑張っている。月末が近づきそろそろ確定申告の準備をせねばと腰を上げたが、毎度のことながら荷が重い。
中野孝次の自伝である「麦熟るる日に」を読了した。頑固一徹の父親に反抗しつつ、第2次世界大戦末期の混乱の中で、あこがれの五高に入学するべく自らの信念を貫徹した彼の生きざまは、まさに「戦中派の青春」そのものである。
彼は、阿部次郎の「三太郎の日記」を読んで、戦争へ突き進む中での若き学徒の真摯な疑問をぶつけるべく、当時仙台にいた阿部次郎に会いに出かけているが、はぐらかされて期待外れに終わっているようだ。「三太郎の日記」は、小生が教養部に入学時に最初に購入した本であったが、改めて読み直すべく図書館から新版を借りてきた。果たして我が青春の記憶は蘇えるであろうか。
今日の一句「猫柳 積雪に耐えて 春を呼ぶ」