滝沢克己とその時代

ここ数日暖かい日が続いたせいであろうか、庭の梅の若木が数輪の花を咲かせた。春へ向かって歩み出したその可憐さにほっとさせてくれる。庭の温州ミカンはもはや野鳥に取られて残っていないが、皮が厚い八朔はリスが来なかったせいかまだ残っている。
九大YMCA名島寮の会報が届いた。今号では寮生が「滝沢克己とその時代」と題して、自己否定をした全共闘の学生に対する滝沢克己のインマヌエルのメッセージを掘り下げた論文を掲載していた。滝沢克己は当時文学部の教授であり、「滝沢克己とその時代」は私の学生時代と重なる。
中途半可な知識で青臭い議論に明け暮れた学生時代の思い出の中に埋もれている滝沢克己に、今なお若い学生が注目しているのは思いがけなかったが、青春時代を蘇らせてくれた論文に感謝である。
今日の一句「初春に 蘇えりたる 青春の 青白き思い ほろ苦きかな」