炎天下の百日紅

我が家でも百日紅が満開だ。近所には白やピンクの花をつけたものもあるが、名前からして赤い花が本命であろう。灼熱の陽に照りかえる赤い花は、遠くから見ると大阪で夏の街路樹として印象に残っている夾竹桃に似ている。もちろん全く花も葉も形状は異なるが、むっとした暑さの道路端で、なお自らの赤い花を誇示している姿に共通項を感じてしまう。「炎天の 地上花あり 百日紅」と高浜虚子も夏の炎天下の花と紹介している。 
片や夾竹桃被爆後いち早く花を咲かせたことから広島市の花となっているそうだが、有毒植物とかで百日紅ほど好まれてはいないようだ。同じ高浜虚子の俳句に「病人に 夾竹桃の 赤きこと」の句がある。
改めて見渡せば若葉のころと異なり、木々の緑もまるで陽に焼けたがごとく濃緑色に陰影を強め、日向の風はちっともさわやかではない。