人間通

あっという間に春が来た感じである。庭の桜も5分咲きとなったが、今日は生憎の雨である。
本箱でほこりをかぶっていた谷沢永一著「人間通」なる本を読んだ。本の帯には「人をなるほどと唸らせる96の賢察」との宣伝文がある。確かに様々な項目について改めて考える糸口を与えてくれる本ではあるが、北村透谷に対する「われらの祖先を故なく穢す暴虐」と言葉を尽くしての罵倒は理解に苦しむ。さらに高村光太郎も北村透谷の流れを汲む「夜郎自大」の者としてバッサリと切り捨てられている。Wikipediaによると谷沢氏は「皇室を重んじる保守の論客の一人である」とあり、北村も高村も彼の思想信条に合わないという事であろうが、むしろ谷沢永一の傲慢さ、独善を垣間見るような一文でもある。
今日の一句「桃花散り 水密桃を 思いおり」