幸福度と幸福感

2011年最後の日、振り返ってみてまずまず充実した一年を過ごせた事を感謝したい。他方、来年に向けて、国内外に多くの難事を抱え、マスコミ報道は悲観的な論調が目につくが、我々はどう受け止めるべきなのであろうか。
今年はブータン国王夫妻が来日した事もあり、幸福度なる指標が話題になった。インターネットで「幸福度」をキーワードに検索してみると、すでに様々な人がそれぞれの尺度で幸福度のランク付けを行っている。
法政大学の坂本教授の「日本で一番幸せな都道府県」なる報告では、福井、富山、石川が上位に、兵庫、高知、大阪が最下位にランク付けされている。失業率やら犯罪の多さ、保育所の定員比率、持ち家率、労働時間、平均寿命など40の指標を基に算出した結果だそうだ。因みに、わが神奈川県は千葉県に次いで34位と、後半にランクされている。福井、富山、石川は本当に幸せな県なのかピンとこないが、坂本先生の選んだ指標に基づけば相対的には、そのような順位となるのであろう。このランクはどちらかというと経済指標の域を出ておらず、為政者が政策を立案する際の参考とすべき指標であり、その地域の住民の幸福感と一致しているとは限らない。
民主党政権は2020年までに「幸福感を引き上げる」との政策目標を掲げ、内閣府有識者らで構成する研究会を立ち上げている。住環境や仕事など経済社会状況、心身の健康、家族や地域、自然とのつながりなど132項目を指標にしているそうだ。国民の幸福度を高めるためにできることは何かをそれぞれの地域や国全体で為政者は心してもらう必要があるが、これらの指標が高ければ我々の幸福感が高いかといえば、必ずしもそうとは言えない。
米フォーブズ誌に掲載された、2011年1月発表の英レガタム研究所による「豊かさ指数」のランキングでは、世界の主要国をすべて含む110カ国のなかで、日本はシンガポールに次いで18位だそうだ。日本は経済力、民主主義の浸透、広く教育を受けられる権利、健康度などでは、トップクラスにありながら日本人の満足度は、非常に低く「客観的にみると世界のトップクラスにあるのに、日本人自身が強い不安・不満をもっているため、順位が低めになっている」と小田切 尚登氏は述べている。経済指標によるGDPなどと異なり、幸福感といった感覚的な比較は客観性を示すことは難しい。
本川 裕氏は、世界価値観調査において単純に幸福か否かを質問した結果、日本の幸福度は、57カ国中24位と報告している。いくら豊かであっても、マスコミの報道がネガティブであれば、すぐ悲観的になるのが日本人の国民性であろうから、このランクに喜んだり悲しんだりする必要はなかろう。
翻って我が身をみれば、毎日が日曜日の年金生活者、のんびりと身の丈に合った生活を過ごせば幸せと言えようが、全てが満たされ、やる事が無くなったら幸福感もきっと無くなる事であろう。蟻人生が染みついた輩は、キリギリスにはなれそうにない。来年も慌ただしく過ごす事であろうが、やる事が沢山ある事を幸せとしよう。
今日の一句「年の瀬や 悲喜こもごもの 漱石忌