TPPとコメ関税撤廃問題

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の事前協議に入るとコメなどの関税が撤廃されることになるとして、全農は反対している。しかし、安いコメが輸入されなければ日本の農業は安泰と言う訳ではない。
農業従事者の高齢化、生産性の低下(コメ単収の低下)、コメの消費低迷、人口減少による需要の低下、食糧自給率の低下、耕地面積の減少(食糧安全保障の低下)、零細農業規模による生産コスト高止まり、減反政策やコメの高関税維持のための財政負担などなど、関税をどうするかの以前の段階で既に日本の農業は多くの壁にぶつかっている。それぞれが断片的に議論されているが、いずれの課題も相互に関連している。
農業規模を拡大(生産性向上、収益向上)すれば若者の農業への回帰もあり得ようし、高品質の美味しいお米なら輸出も期待できよう。この際、関税撤廃を前提に農業改革を議論してみるべきであろうが、保守的な政治と自己保身的な官僚に任せていたのでは、問題の先送りで終わりそうだ。