食糧自給率の低下

新聞のコラムに標記の記事が出ていたが、自給率向上には「農業を魅力あるものにしていく必要がある」と締めくくられていた。政府は自給率50%を目標に掲げているそうだが達成できそうな具体的な政策はない。現政権下で農業が魅力あるものになるとも、自給率が50%になるとも、誰も信じてはいない。そもそも為政者自身が、このコラムの執筆者が言うように「食糧自給率は、国の安全保障の要だ」と本当に信じて危機感を抱いているだろうか。
別の新聞に「食糧安定供給の盲点」と題して、肥料の原料調達の危うい現状を警鐘していた。自給率を向上させるためには、農産物価格の低迷や農業従事者の高齢化問題のみならず、肥料や農薬、そしてビニールハウスでのヒーター、トラクターのガソリンなどエネルギーを含めた地下資源の安定供給も絡んでいることが指摘されている。
こうしてみてくると、食糧自給率に関連して考えるべき課題は広範囲に及んでおり、ジャーナリストが取り上げる断片的問題提起はほとんど意味が無い。農政経済学者の長期的、且つ国際的視野に立った提言を期待したいが、難題であると言えそうだ。